kasui 大人と子どものための書道教室

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うれしく包んで

七月、雨雲広がる頃。
しばしの雨上がりに庭の木々に目をやれば、
青時雨が静かに下りています。

そんな梅雨の只中、今年も同人書作展が、
国立新美術館で開催されています。
今回は、大溪洗耳先生の遺墨展も同時に開催
されていますので、その見事な書を鑑賞でき
る、またとない機会となっています。

書の本質を示された作品の数々に圧倒され、
感動し、もっともっと研鑽しなくてはと、
書の余韻を味わいました。

また、先日ある方から菓子とともにいただ
いた言葉、「お口汚しではございますが」
際立つキレのいい日本語。
さりげなく使いこなしてみたいものと、
これまた、言葉の余韻を楽しみました。

そこには、日本のつつましくも豊かな、
きりっと立った美意識を感じるのです。
いずれも、うれしく包んでいただきます。
とは、詩文『京の店』より拝借。

京の店

はるばる来たのに予約制
さがしさがして来たのだけれど
めざす干菓子は買えずじまい
どっしりの家がまえに 盤石のあるじ
あるじは売れぬことを謝し
「以後 おみしりおきを」とて
わらびいろの刷りものを手渡す内に
矜りを持しつつもの
めりはりきいた挨拶である

おお かならずや みしりおき
いつの日か また まいりましょう
買えないこともいいことだ
久しぶり きりっと立った 日本語を
うれしく包んで帰ります

姉小路の通りに出れば
にわかの あられ
ぽんぽんと路地に弾み
あられたばしる とはこのことか
しばしのほど
可憐で硬く小さいものの頰を
打つにもまかせていた

茨木のり子全詩集
『スクラップブック』から

祇園 鍵善良房 『飴雲』

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