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KEISUI 大人と子どものための書道教室

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犀星

つくつく法師の変化に富んだ鳴き声が耳につく
ようになりました。

先日「室生犀星記念館」へ行ってきました。
金沢の生家跡に建つ記念館には、さまざまな
文学作品、自筆原稿や書簡、遺品などが紹介
され、文豪の生涯に思いを馳せながら、興味
深い時間となりました。特にひきつけられた
のは、「犀星発句道」の企画展。犀星の染筆
で軸装された俳句のいくつかの展示で、俳句
以上に見入ってしまったその書。

企画展ガイドペーパーによると、犀星は短冊
などへの染筆は、体力と精神力を消耗すること
から、あまり好きではなく、自身の文字を拙い
と感じる一方、文字を書くことに強いこだわり
ももっていた。とありました。

「書というものは心の呼吸づかひであつて、
 殆どその人となりの全部であらう」
と、犀星は字について述べているようです。
       
館内には、その文字を書写するコーナーがあ
ったので、犀星の字をなぞってみました。
『蝉頃』の自筆原稿のコピーへなぞり書き!
原稿の文字はやや小さめ、多くの字は枡の右上
にあって、「蝉、せみ」「啼く、なく」「夏、
なつ」と、表記を書きかえているのは意図が
あるのか? また、「なつのあわれに」あと
の、ぐじゃっと黒く削除した跡もおもしろく、
じっくりと書いている一文字一文字からは、
独自性と、焦ることない懐の大きさや強さを
感じました。

「書は、その人となりの全部であらう」とした
犀星の文学には、どこか静寂さがただよいます
が、同時に、故郷、自然、動植物を描いた作品
そして文字からは、広く深い愛を感じるのです。

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