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KEISUI 大人と子どものための書道教室

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花の景色

 花発けば風雨多し 干武陵

先週はいっせいに桜が咲き匂ったかと思いきや、
いたずらな風や雨に今日は花びらが地上を白く
染めています。それでも、開花したときの桜の姿
は気高く清く、言葉では言い尽くせないほど。

いにしえの奈良の都の八重桜

今日九重に匂ひぬるかな

      『詞花集』春二九 伊勢大輔
平安から1000年も経た今でも、咲き誇る一瞬の花
の輝きや、いっせいに咲き匂い香気ただよう景色
が目に浮かぶような美しい一首ですが、そのなか
の、匂ひ(にほひ)=におい「匂」は、余韻の韻
の異体字である「韵」の旁の形を変えてつくられ
た国字。「匂い」は、単に嗅覚だけではない、
趣きや艶、色彩など、視覚的なものも多分に含ま
れていて、日本の情緒を良くあらわしています。当時、その大和言葉を中国から伝わった漢字に
おきかえるとき、それをあらわす漢字は見あたら
なかったということのようです。

国字は1500字余あるといわれていますが、季節の
情緒ある日本の風土から生まれた文字は、言葉が
咲かせている花の景色のようです。

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